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2024.04.11
ときどきの信州飯田
天龍川から飯田松川を辿ると
今年の信州飯田の桜は” 見頃”が短いようです。際まで寒かった所へ急に春の暖かさがやってきて桜も遅れまいと一気に咲いている。そんな今年の春です。
ここは天竜川の支流飯田松川沿いにある、地元の方は 松川会館の桜、年配の方は松川プールと呼び桜の名所として市民の憩いの場となっています。
実は、この松川をさらに上流へ辿ると環境省百名水にも選ばれた「猿庫の泉」があります。江戸時代の茶人不蔵庵龍渓宗匠がお茶に合う水を求めて岡崎を出て天龍川から支流の松川を辿りとうとう猿庫の泉に辿り着いてたいそう喜んでお茶を点てた。そういう昔の話をお父さんが息子に話して聞かせる「泉を求めて」との題のお話が終戦後の国語の国定教科書に載ったことで全国にその名が知られるようになったそうです。
天竜川のこれより上流ではなく支流の松川にいい水ありと江戸時代の茶人が辿り着いた。勿論pH計などない時代にその舌ひとつでこの水を選んだという。なんと人の感覚の優れたことか。猿庫の泉の水は今日的な分析でも飛び抜けて硬度の低い正に茶の湯に相応しい水で、それは信州飯田に水を大切にする文化を育み、また私達の誇りでもあります。
〈上〉長野県飯田市鼎(かなえ) 松川の桜 撮影 2024.4.7
〈下〉長野県飯田市鼎(かなえ) 松川の桜 撮影 2024.4.7
左奥が下流で天龍川に注ぎ込みます。写真右下が松川上流でやがて猿庫の泉となります